SUS304TPD等 一般配管用ステンレス鋼管の規格,パイプサイズ,成分,記号,種類等

ここでは給水、給湯、排水、冷水・温水の配管及びその他の配管で使用する直管やコイル巻管のステンレス鋼管・パイプとして用いられ、SUS304TPDやSUS316TPDに代表される一般配管用ステンレス鋼管のパイプサイズ寸法・径、ステンレス鋼種記号、寸法許容差、肉厚(厚さ)、化学成分・特性・性能などの資料をまとめています。

JISでは外径の標準寸法サイズは、9.52mm〜318.5mmの範囲まで、ステンレスパイプ厚さは 0.7mm〜3.0mm の範囲の一般配管用ステンレスパイプが規定されています。


■ 一般配管用ステンレス鋼管の規格、材質種類、記号、表示等

SUS304TPDやSUS316TPDなどの一般配管用ステンレス鋼管・パイプは、驟咲ョ。逕ィ繧ケ繝とは少々用途が異なり、直管やコイル巻管として主に給湯などの配管に用いられるステンレス鋼管・パイプです。

一般配管用ステンレス鋼管の配管サイズ・寸法・厚さの呼び方は、驟咲ョ。逕ィ驪シ邂。で用いられるA呼称或いはB呼称による蜻シ縺ウ蠕繧ケ繧ア繧ク繝・繝シ繝ォ逡ェ蜿キとは異なり、外径サイズの呼び方には”Su”という呼称が使われ、厚さ(肉厚)は、ミリ寸法で表されます。

例:Su50×1.2 (外径mm×厚さmm)
※Su50のパイプ外径サイズは48.6mm。

また、一般配管用ステンレス鋼管のパイプ長さの定尺は、直管の場合には一般に4M(4,000mm)のパイプが一般的です。

一般配管用ステンレス鋼管は、JIS規格においては、以下のJISで規定されている配管になります。

  • JIS G 3448 一般配管用ステンレス鋼管

JIS規格に規定される一般配管用ステンレス鋼管の種類には、4種類のステンレスパイプがあり、それぞれの材質・材料記号(ステンレスパイプ鋼種)とその用途例・特徴は以下の通りです。

SUS304TPD
通常の給水、給湯、排水、冷水・温水などの配管用として利用される。
SUS315J1TPD
水質、環境などからSUS304よりも耐食性が要求される用途及び、SUS316よりも耐応力腐食割れ性が要求される温水配管用途の配管用として利用される。
SUS315J2TPD
SUS315J1TPDと同様に、水質、環境などからSUS304よりも耐食性が要求される用途及び、SUS316よりも耐応力腐食割れ性が要求される温水配管用途の配管用として利用される。
SUS316TPD
水質、環境などからSUS304よりも耐食性が要求される用途の配管用として利用される。

上記のSUS304TPDやSUS316TPDなどの一般配管用ステンレス鋼管・パイプ製品の表示には、製造方法を表す記号など、それぞれ以下の記号表示が付記される場合があります。

製造方法を表す記号
閾ェ蜍輔い繝シ繧ッ貅カ謗・ステンレス鋼管:-A
繝ャ繝シ繧カ繝シ貅カ謗・ステンレス鋼管:-L
髮サ豌玲慣謚玲コカ謗・鋼管:-E
その他の記号
・熱処理を行った場合の表示記号:-HT(A、E又はLの製造方法を表す記号の後に付ける)
・耐圧性能及び浸出性能を表す記号:M

これらの記号を用いて、SUS304TPDやSUS316TPDなどの一般配管用ステンレス鋼管・パイプの製品表示は、以下のように表示されます。

一般配管用ステンレス鋼管の製品の表示例
例:
熱処理を行ったレーザー溶接ステンレス鋼管 SUS304TPD の場合 : SUS304TPD-L-HT

■ 一般配管用ステンレス鋼管の材料、製造方法、熱処理など

JIS規格におけるSUS304TPDやSUS316TPDなどの一般配管用ステンレス鋼管・パイプに使用する材料や製造方法は以下のような仕様となっています。

一般配管用ステンレス鋼管の材料
SUS304TPDやSUS316TPDなどの一般配管用ステンレス鋼管は、以下のJIS規格に規定される、SUS304、SUS315J1、SUS315J2 及び SUS316 を使用して製造します。
■JIS G 4304(熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)
■JIS G 4305(冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)
一般配管用ステンレス鋼管の製造方法
SUS304TPDやSUS316TPDなどの一般配管用ステンレス鋼管は、閾ェ蜍輔い繝シ繧ッ貅カ謗・繝ャ繝シ繧カ繝シ貅カ謗・、又は髮サ豌玲慣謚玲コカ謗・による髮サ豌玲慣謚玲コカ謗・驪シ邂。 として製造します。

一般配管用ステンレス鋼管の熱処理
SUS304TPDなどの一般配管用ステンレスパイプは、通常は熱処理を行いません。
熱処理を行う場合は、蝗コ貅カ蛹也とし、驟ク豢又はこれに準じる処理を行います。
ただし、固溶化熱処理以外の熱処理については、受渡当事者間の協定によります。

■ 一般配管用ステンレス鋼管の化学成分

SUS304TPDやSUS316TPDに代表される一般配管用ステンレスパイプの化学成分は以下のような仕様となっています(JIS規格より)。

化学成分
一般配管用ステンレス鋼管の化学成分(貅カ驪シ蛻)は、JIS G 4304(熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)及び JIS G 4305(冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯)に規定される成分値が適用され、以下の数値となります。
※以下、単位は%

SUS304
C:0.08以下/Si:1.00以下/Mn:2.00以下/P:0.045以下/S:0.030以下/Ni:8.00〜10.50/Cr:18.00〜20.00/Mo:−/Cu:−
SUS315J1
C:0.08以下/Si:0.50〜2.50/Mn:2.00以下/P:0.045以下/S:0.030以下/Ni:8.50〜11.50/Cr:17.00〜20.50/Mo:0.50〜1.50/Cu:0.50〜3.50
SUS315J2
C:0.08以下/Si:2.50〜4.00/Mn:2.00以下/P:0.045以下/S:0.030以下/Ni:11.00〜14.00/Cr:17.00〜20.50/Mo:0.50〜1.50/Cu:0.50〜3.50
SUS316
C:0.08以下/Si:1.00以下/Mn:2.00以下/P:0.045以下/S:0.030以下/Ni:10.00〜14.00/Cr:16.00〜18.00/Mo:2.00〜3.00/Cu:−

■ 一般配管用ステンレス鋼管の機械的性質

SUS304TPDに代表される一般配管用ステンレス鋼管・パイプの機械的性質(引張強さ及び伸び)は以下のような数値となっています(JIS規格より)。

機械的性質(引張強さ/伸び)
SUS304TPDやSUS316TPDなどの一般配管用ステンレスパイプは、引張強さ及び莨ク縺ウに関して蠑募シオ隧ヲ鬨が行われ、それぞれ以下の数値となります。
※以下、引張強さの単位は N/mm2、伸びの単位は %

SUS304TPD
引張強さ:520以上
伸び:35以上(11号試験片・12号試験片:縦方向)/25以上(5号試験片:横方向)
SUS315J1TPD
引張強さ:520以上
伸び:35以上(11号試験片・12号試験片:縦方向)/25以上(5号試験片:横方向)
SUS315J2TPD
引張強さ:520以上
伸び:35以上(11号試験片・12号試験片:縦方向)/25以上(5号試験片:横方向)
SUS316TPD
引張強さ:520以上
伸び:35以上(11号試験片・12号試験片:縦方向)/25以上(5号試験片:横方向)

機械的性質(へん平性)
一般配管用ステンレス鋼管は、縺ク繧灘ケウ隧ヲ鬨を行い、ステンレスパイプの壁に、きず、割れ及びその他の異常を生じてはいけません。

機械的性質(押し広げ性)
一般配管用ステンレス鋼管は、謚シ縺怜コを行い、ステンレス鋼管の壁に、きず、割れ及びその他の異常を生じてはいけません。
ただし、呼び方80Su以下のステンレス鋼管に適用します。

機械的性質(曲げ性)
一般配管用ステンレス鋼管は、譖イ縺定ゥヲ鬨を行い、ステンレスパイプの壁に、きず、割れ、しわ及びその他の異常を生じてはいけません。
ただし、呼び方20Su以下のコイル巻管に適用します。

その他、SUS304TPDなどの一般配管用ステンレス鋼管については、JIS規格には以下の項目の規定があります。

  • 耐漏れ性(空気圧試験/非破壊検査)
  • 耐圧性能
  • 浸出性能(※)
  • 外観
  • 試験方法
  • 検査
(※)
浸出性能の適用は、受渡当事者間の協定によりますが、豌エ驕捺ウでは、給水装置として使用する一般配管用ステンレス鋼管に、浸出性能試験を規定しています。

■ 一般配管用ステンレス鋼管の配管サイズ・径・厚さ・重量、定尺長さ、寸法許容差

SUS304TPDやSUS316TPDなどに代表される各種一般配管用ステンレス鋼管・パイプの配管外径サイズ寸法・径、厚さ(肉厚)、重量(質量)、定尺長さ、及び寸法許容差は以下の通りです。

外径サイズ寸法・厚さ・寸法許容差及び重量
一般配管用ステンレス鋼管の配管外径サイズ寸法・厚さ・寸法許容差及び重量は、以下の表1になります。

表1. 一般配管用ステンレス鋼管の外径サイズ・径・厚さ・寸法許容差及び重量

表1. 一般配管用ステンレス鋼管の外径サイズ・径・厚さ・寸法許容差及び重量
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備考1.
外径の許容差のうち、外径とは一般配管用ステンレス鋼管の直径実測の許容差をいいます。
備考2.
外径の許容差のうち、周長とは一般配管用ステンレス鋼管の周長実測値を円周率3.1416で除した値の許容差をいいます。
備考3.
上記表1におけるSUS304TPDやSUS316TPDなどの一般配管用ステンレス鋼管の単位重量(質量)の数値は、各種一般配管用ステンレスパイプ鋼種の比重(基本質量ともいい、厚さ1mm、面積1m2の質量と同じ)が考慮され、以下の式によって計算されます。

W=At(D−t)

ここに、
W:管の単位質量(kg/m)
t:管の厚さ(mm)
D:管の外径(mm)
A:Wを求めるための単位の変換係数で、ステンレス鋼種別に以下の値

鋼種別一般配管用ステンレス鋼管(ステンレス)の比重(基本質量)と上記Aの値は以下の通りです。

SUS304TPD
比重(基本質量):7.93、A=0.02491
SUS315J1TPD/SUS315J2TPD/SUS316TPD
比重(基本質量):7.98、A=0.02507

長さ及びその寸法許容差
■一般配管用ステンレス鋼管のパイプ1本の定尺長さは、直管の場合、通常、4,000mm となります。
その寸法許容差は、指定長さ以上となります。
■コイル巻管の場合の長さ許容差は、以下の表2になります。

表2. コイル巻管の長さ許容差

長さ(呼び方20Su以下 ) 許容差
50m以下 +0.5m、 0m
50mを超えるもの +2%、 0%

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