配管の選定をしていると、サイズだけではなく材質や強度、接続方式、保温、塗装など考えないといけないものがたくさんあって迷いますよね。
今回は、その中でも迷いやすい「電縫管とシームレス管の違い」について解説したいと思います。
電縫管(溶接管)とは
電縫管は板状の鋼を円形に成形し、接続部を電気抵抗溶接によって接合したものです。炭素鋼鋼管、ステンレス鋼管。低合金鋼管など様々な材質の配管が製造できます。
8A程度の小径から650A程度の大口径まで幅広く対応でき、連続的に生産できるのでコストも安く抑えることが出来ます。配管の中をよく見るとつなぎ目に線が入っているのが分かります。
同じ製法で電気抵抗溶接ではなく熱と圧力で一体化させたものを「鍛接管」と呼びますが、こちらは20A~100A程度の配管に使われるものでそれ以上の大口径配管は電気抵抗溶接が利用されます。
シームレス管とは
シームレス管は丸棒の中心を押し広げて中空にした継ぎ目のない配管です。主にマンネスマン法という方法で製造されます。
中を見てみると電縫管とは違いつなぎ目の線がなく、その分強度が高くなります。
内圧やねじれに強く、厚肉のパイプ製造に向いていますが、高い寸法精度は得られず電縫管に比べコストが高いという傾向があります。
電縫管とシームレス管の違い
電縫管の違いを表にまとめると次のようになります。
製造方法上、電縫管の方が大口径に対応でき、コストもシームレス管より安くなります。ただシームレス管に比べると継ぎ目がある分、強度は低くなります。
どちらを使うかに関しては求められる強度やコストを見ながら決定します。正直、どちらを選定しても強度的に問題のないことが多いので過去の実績やプラントの設計思想によって決められることが多いです。
火力発電所の場合は電気事業法で定められている「溶接事業者検査」を避けるため150A以上で対象になりそうな配管をシームレス管にする場合もあります。
それぞれ、どのような規格があるのかは日本鉄鋼連盟のサイトに表があるのでリンクを載せておきます。
まとめ
- 電縫管は接続部を電気抵抗溶接によって接合したもの。
- シームレス管は丸棒の中心を押し広げて中空にした継ぎ目のない配管。
- 強度、サイズ、コストを考慮しながら選定する。
配管は種類や記号がたくさん出てきて分かりにくいので、一つ一つ確認しながら間違いのないように注意する必要があります。